産地特徴
小紋染に用いる型紙は、伊勢形紙が用いられ、熟練した技術者によって手彫りされています。東京染小紋は、長い伝統に培われた技術によって生み出され、その微妙な幾何学模様と、単色でも粋で格調高い趣を持つところに特徴があります。
産地技法
良質の手漉き(す)和紙を柿渋で張り合わせた「地紙」にキリ、小刀等を使って模様を彫って型紙を作ります。長い板に白生地を張り、その上に型紙をのせて上にヘラで防染糊を置いていきます。生地を板からはがし、地色のついた糊を大きなヘラで、塗り付けて地色染めします。糊の中の染料を生地に定着させるため、地色糊が乾かないうちに蒸します。糊や余分な染料を落とすため、念入りに水洗いをします。
産地歴史
小紋の始まりは室町時代に遡ることができますが、広く小紋が染められるようになったのは江戸時代になってからのことです。 全国から集まる大名の裃(かみしも)の染めを行うようになり、産地が形成されました。 初めは武士だけの裃小紋でしたが、江戸時代中期には、町人文化の自由で粋な感覚を受け、庶民の間でも親しまれ、華やかに発展しました。小紋は、江戸時代には男女を問わず着られましたが、明治時代になると女性専用となりました。